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[インタビュー]Solrサブスクリプションご利用会社
第一法規株式会社様

検索エンジンは自社サービスの優位性を左右する存在。学術的なアプローチのできるパートナーが不可欠だった。

第一法規株式会社Webサイト

法律専門の出版社として、100年以上の歴史を持つ第一法規株式会社(本社:東京都港区)。行政機関の職員や弁護士、企業の法務・総務担当者などをおもな顧客に、法律や判例などを記載した加除式書籍、雑誌、単行本の発行を手掛けてきました。近年ではサービスのデジタル化を積極的に進め「D1-Law.com」など、WebサイトやUSBメモリによるサービス提供を行っています。今回は、同社のデジタルサービスの検索エンジンの一部にロンウイットのサポートのもと、Apache Lucene/Apache Solr(以下、Lucene/Solr)が導入された経緯についてお話をうかがいました。

プロフィール

第一法規株式会社 様 第一法規株式会社様
左から、制作局商品システム開発部 上田浩一様、吉田究様、小林瑞枝様、ロンウイット担当コンサルタント西潟一生

検索エンジンは自社サービスの品質を左右する極めて重要な存在。

ロンウイット「御社がLucene/Solrを採用することになった経緯について教えてください。」
吉田様「第一法規では「D1-Law.com 法情報総合データベース」や「税務・会計データベース」など、Webをベースにした数多くの法律関連の情報提供サービスを行っています。当社の従来の主力サービスであった加除式書籍などと比べ、こうしたデジタル系のサービスでは、検索するだけで必要とする情報にたどり着けるため、ユーザーにとっては非常に大きなメリットがあります。一方で、検索エンジンの仕様次第では、あるはずの情報が発見できない、という重大な問題も生じます。そのため、当社では検索エンジンを自社のサービスの要のひとつと考え、システム開発にも力を注いできました。」

小林様「当社がデジタルサービスの提供を開始した当初は、検索エンジンンはすべて商用のものを活用していました。しかし、運用するサイトが増えてくるにつれて、商用検索エンジンのライセンスフィーがかなりの金額になってきたのです。そこで、2011年ごろから、ユーザー数の少ないサービスに関しては、オープンソース(OSS)の検索エンジンを採用してはどうか、という議論が持ち上がりました。」

吉田様「当初、私たちが検討していたのはLucene/Solrではなく、Lucene単体を検索のエンジン部分に採用することでした。SI会社に対してLuceneを使って開発して欲しいとお願いしたのが、OSSと付き合い始めたきっかけでした。」

ロンウイットは、学術的な視点から検索エンジンに取り組んでいた。

ロンウイット「どんなことがきっかけでロンウイットとのお取引が始まったのでしょうか。」
小林様「当時、ネットでLuceneを検索して、日本語でヒットするのはロンウイットのWebサイトや、社長の関口さんのブログぐらいしかありませんでした。こんな会社があるのなら、何らかの形でコンタクトを取りたい、と考えたのが始まりだったと思います。」

吉田様「何度かメールで問い合わせをしている中で、「一度、直接、お会いしてお話ししましょう」ということになり、関口さんにご来社いただきました。当社の要望や、やりたいと思っていることなどを聞いていただいていく中で、検索エンジンというものに対する考え方が、非常に自分と似ていることに気が付きました。検索エンジンは現在も大きな進化が続いているテクノロジーですから、突き詰めていけば情報工学や言語学といった学問の世界に行き当たります。関口さんから「機械学習を研究したいので、大学院に通おうと思っている」という話を聞き、自分と同じ価値観を持った人がいる、と感じたのです。」

上田様「とは言うものの、当初、ロンウイットとの取引は、Luceneの機能面での検証を依頼する単発のコンサルティング契約でした。この会社とはきちんと契約を結び、長期的に付き合っていったほうがよさそうだ、ということになったのが2013年ごろのことです。そこでロンウイットのサブスクリプションサービスを導入し、Lucene/Solrについても検討を始めました。ロンウイットという会社がなければ、Solrの採用を考えることはなかったと思います。」

検索エンジンの日本語化に関しては、すでに確立された技術を持っていた。

ロンウイット「御社にとっては、どのようなところがロンウイットの魅力だったのでしょうか。」
小林様「Lucene/Solrの日本語対応ということに関しては、すでに確立された技術やノウハウを持っていることが大きな魅力でした。例えば、日本語検索エンジンでは「表記の揺れ」というものが大きな問題になります。「平成元年」と「1989年」を同じ年として検索できないと、ユーザーは求める情報にたどり着くことができません。ロンウイットがサブスクリプションとして提供するサービスの中には、こうした「表記の揺れ」を補正するアドオンなどもすでに搭載されていました。使おうと思えば、そのまま当社の検索エンジンとして採用しても、ある程度の使用には耐える状態に仕上がっていたのです。」

吉田様「とは言うものの、すぐに本格採用ということではありませんでした。というのも、当社にとって検索エンジンの性能は自社サービスの市場優位性を左右する非常に重要な問題。ロンウイット版のLucene/Solrを採用しても、今までできていたことがきちんとできて、検索速度が速くなるなどといったメリットが実証できなければ、簡単に乗り換えることはできません。そのためサブスクリプション契約を結んだ後も「こんな機能は搭載できるだろうか」「こんな問題は起こらないだろうか」などといった機能追加や検証をお願いすることが続きました。実際にロンウイット版のLucene/Solrを採用したのは2016年のこと。3年近くは検証や実証を続けてきたことになりますね。」

機能だけでなく、中長期的に安定して使い続けられることが重要。

ロンウイット「御社にとって、検索エンジンの選定で重視されているのはどのような点ですか。」
吉田様「検索エンジンは、当社のサービスの要のようなものですから、私たちが考慮するのは機能面だけではありません。何よりも重要なのは、長期的に安定して使い続けることができるか、という点なのです。例えば、商用エンジンの場合、開発会社の方向性が変わり、私たちが必要とする機能が無くなってしまうという可能性は無視できません。ましてやOSSの場合なら、開発が本当に継続されていくのか、というのは大きな問題です。私たちが一部のサービスでLucene/Solrの採用に踏み切ることができたのは、Apacheコミュニティーの中でも非常に動きが活発なプロジェクトだったからです。OSSは複数のコミッターが開発に関わっていますから、商用エンジンのように極端に方向性が変わってしまうという危険性が少ない。しかもロンウイットさんと契約を結んでおけば、関口さん自身がコミッターとして開発に関わっているわけですから、長期的に見ても不都合が起こる可能性はないはずです。そうした点がロンウイット版のLucene/Solrの採用を決めた理由ですね。」

小林様「しかし、現在のところ、当社の数多くのサービスのうち、ロンウイット版のLucene/Solrを採用したのは2つだけ。リスクヘッジも考えなければなりませんから、当分の間は複数の検索エンジンを併用しながら、中長期的な視点に立って、サービスの質を向上させていくことになると思います。」

情報サービスとしての価値を高める機能追加にも期待している。

ロンウイット「この先、さらに多くのサービスにLucene/Solrが採用される可能性はありますか。」
小林様「それは、ロンウイットさんがどこまで私たちの要望を実現してくれるか次第です。現在も、私たちからの要望でこれまでに無かった新しい機能の開発を進めてもらっています。まだ詳細なことは言えませんが、ユーザーにとってとても有益な機能になると思っています。また、個人的にはロンウイットさんのサブスクリプションサービスに標準で搭載されている「専門用語抽出」といった機能にも興味を持っています。」

吉田様「現在、当社のデジタルサービスでは、複数の商用エンジン、OSS版のLucene/Solr、ロンウイット版のLucene/Solrが併存している状態です。これはまだしばらくの間、続くでしょう。しかし、ロンウイット版に統一しようという話になる可能性は十分ありますし、そうなってくれることへの期待もあります。」

検索を追求するパートナーとして、一緒に成長して行って欲しい。

ロンウイット「この先、御社がロンウイットに期待されるのはどのようなことですか。」
吉田様「私たちはデータベースの提供をビジネスの柱とする企業として、検索エンジンの進化を中長期的な視野に立って考え続けていかなければなりません。そこには先ほどもお話ししたように学術的な取り組みが欠かせません。商用の検索エンジンの開発会社の中には、技術力は非常に高いものの、検索ロジックへの取り組みがストップしてしまっているという会社も少なくないのです。ですから、ロンウイットさんには、検索という技術そのものを、常に世界の最先端でフォローし続けて行って欲しいですね。実際のところ、どのSI会社や商用検索エンジンの開発会社の方とお話していても「全文検索」や「キーワード」が重要だとはおっしゃいます。しかし「キーワードとは何なのか」を真剣に考え続けている企業はあまりありません。私たちがロンウイットさんを信頼していのは、そうした考え方のできる数少ない人材が揃った会社だからです。現在では社員数も増えて、当社にも専任のコンサルタントが付いてくれるようになりました。中長期的という意味では、会社として安定して存続し続けてくれることも大切ですから、さらに安心してお付き合いしていくことのできる存在になってきたと感じています。この先も検索というテクノロジーを追求し続けて行くパートナーとして、一緒に成長していくことができるよう、期待しています。」


代表者:代表取締役社長 田中英弥
業務内容:1)加除式法規書の出版・販売 / 2)学術書、実務書の出版・販売 / 3)専門雑誌の出版・販売 / 4)デジタル商品の企画・販売 / 5)特別受注出版物等の編集・印刷 / 6)地方公共団体の地域施策に関する調査事業
設立:1943年2月3日(創業1903年)
資本金:4億8000万円

※記事内のデータは、取材日現在の値です。
(取材日:2017年7月)

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KandaSearch はクラウド型企業向け検索エンジンサービスです。
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